【第3回】イベントパートナーの役割

2026年6月18日
目次
▼ 「請負伝言ゲーム」からの脱却 アウトソーシングから「共創」へのマインドセット
▼ イベントをつくるパートナーとしての在り方 – 「想い」 という深層データの解析
ちゃんとイベントプランニングの「バリュー」
こんにちは、「イベントlab.」管理人のイシダです。
このコラムでは、イベントを科学し、研究することで、業界のさらなる発展と次代を担う人材育成に繋がる本質的な発信を続けています。
これまで2回のコラムを通じて、私たちはイベントが持つ本質的な「価値(ミッション)」を再定義し、この産業をさらに発展させていくための「未来図(ビジョン)」をお話ししてきました。
MVVの最後を締めくくるのは、私たちの価値観であり行動指針である「バリュー(Value)」です。ちゃんとイベントプランニングが掲げるバリュー、それは「Co-creation(共創):イベントを共につくりあげるパートナー」であることです。
今回は、一人のイベント屋としての「覚悟」と、最高の体験を生むための「チームワーク論」について、少し熱く語らせてください。

「請負伝言ゲーム」からの脱却
―アウトソーシングから「共創`」へのマインドセット
イベント業界には、長らく「アウトソーシング(外注)」という概念が深く根付いています。
イベントを一つ実施するには、驚くほど多くのステークホルダーが存在します。施工、音響、照明などのハード担当から、司会や舞台監督といった運営チーム、さらにはデザイナーや輸送・管理会社まで。まさに多種多様な「餅は餅屋」の専門家集団です。
しかし、ここで一つの構造的な課題が生まれます。各領域への業務委託が重なることで「多重請負構造」が発生し、元請け、1次請け、2次請け……と階層が深まっていくのです。
この構造の最大の弊害は、情報の「伝言ゲーム化」です。
階層を通るたびに、大切な「目的」が「方法(作業)」へとすり替わり「誰の、何のための言葉なのか」が不明瞭になっていきます。これは結果として、時間という最も貴重なリソースを削り取ることにも繋がります。
AIやDXが進化し、効率化が叫ばれる今こそ、私たちはこの「請負伝言ゲーム」から脱却しなければなりません。そのための第一歩が、お互いを「業者」ではなく「パートナー」と呼び合う「共創(Co-creation)マインド」のです。
イベントをつくるパートナーとしての在り方
– 「想い」 という深層データの解析
私たちが「Co-creation(共創)」を掲げるのは、それがイベントの価値を最大化する唯一の手段だと確信しているからです。
第1回コラムでもお話ししましたが、イベントの手法は無限です。だからこそ、私たちは単に「仕様通りに動く」のではなく、主催者様の「想い」という地層を掘り下げることからスタートします。
・「自分たちらしいイベントにしたい!」というオリジナル性へのこだわり
・「参加者に伝えたいメッセージがある!」という純粋な熱意
・「参加者との交流を大事にしたい!」というコミュニティへの想い
まだ形になっていない未来図や、言語化前のニュアンス。こうした「情熱という名の非構造データ」を、主催者様と共に解析し、具体的な体験(カタチ)へと昇華させていく。これこそが、私たちが目指すパートナーの在り方です。

独自プロトコル: コミュニケーションを深めた「チームプレイ」
想いをカタチにするために、ちゃんとイベントプランニングでは具体的な「行動指針(プロトコル)」を定めています。
■「理解深化」とスピード感のある反復
イベントの目的を知るだけでは不十分です。事業背景やサービス、そして主催者様の「自分事としての熱量」までを深く理解しなければなりません。私たちは、一度の提案で「正解」を出そうとはしません。「提案⇔フィードバック」のコミュニケーション回数を意図的に増やし、思考の鮮度を保ちながら少しずつピントを合わせていく。この「スピード感のある反復」が、完成度を加速度的に高めるのです。
■チームを最大化する「共通言語」
共創を阻む最大の敵は「認識のズレ」です。これを防ぐために、私たちは共通の認識・言語・ツールを使用し、常に同じ景色を見られる環境を整えます。インプットとアウトプットを絶え間なく繰り返し、「アイデア×アイデア」の連鎖によってチームの出力を最大化させる。これがラボ流のチームプレイです。
「ブレスト」はパクり戦略: 量とビジュアルで答えを導く
日々の「筋トレ」として欠かせないのが、ブレインストーミング(ブレスト)です。私たちは、一般的なブレストのルール(質より量、否定禁止)に加え、独自のルールを設けています。
「アイデアをビジュアル化して、自身の言葉で伝える」
アイデアをテキストだけで送ることは、ラボでは推奨されません。言葉の定義は人によって異なるからです。「ビジュアルデータ」をセットにすることで、初めて強固な「共通認識」が生まれます。
また、他人のアイデアに自分の解釈を乗せてしていく、いわば「パクり(乗っかり)戦略」を推奨しています。
人のアイデアに自分の感情を乗せてリレーしていくことで、一人では辿り着けなかった「隠れたヒント」が見つかり、全く新しい正解が導き出されるのです。

総括: MVVがつなぐ「イベントの未来」
全3回にわたり、「ちゃんとイベントプランニング」の根幹であるミッション・ビジョン・バリューを解説してきました。
【Mission】 「イベントマーケティングの価値」を世の中に伝える・拡げる
【Vision】 イベントを開催する人を増やす/イベントをつくる人を増やす/イベントに参加する人を増やす
【Value】 Co-creation イベントを共につくりあげるパートナー
これらはすべて地続きの物語です。「共創(Value)」という武器を研ぎ澄まし、より多くの「人(Vision)」を巻き込み、最終的に「イベントの価値(Mission)」を社会へ証明していく。この循環を創り出すことこそが、私たちの使命です。
イベントに絶対の正解はありません。だからこそ、試行錯誤するプロセスそのものが面白い。
私たちはこれからも、皆さまと共に「最高の正解を創り出すパートナー」であり続けます。
全3回の MVV 解説にお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回からは、より具体的な「現場の実験データ」や「イベントの裏側」にフォーカスした研究結果をお届けします。
今後とも、よろしくお願いいたします。
ちゃんとイベントプランニング事業責任者/ちゃんとイベントlab.管理人
C.Ishida

